剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
気になる友達男子

 香取くんの肩は2、3日で直ぐに良くなったようだった。

 そしてちょうどその頃、席替えをした。
 あいにく香取くんと私の席は離れてしまった。同じ列の一番前と一番後ろ。近いような遠いような、微妙な距離。


(折角友達になれそうだったのに残念…)


「おはよー瑠璃」

 朝、教科書やノートをバッグから机に詰め替えていた私に知世が声を掛ける。

「瑠璃ちゃんおはよ!」

「おはー」

 入学式の翌日に知世が話し掛けた女の子たち─のりかちゃんとまひろちゃん─も一緒。あれを機にすっかり仲良くなってしまった。


「おはよう!」

「ねぇねぇ英語の宿題できた?」

「あっあれねー、難しかったぁ」

 そうして今朝もまた他愛ないお喋りから一日が始まる。


「でさ、あの二人これからどうなると思う!?」

「毎週きゅんきゅんよね~、あのドラマは」


「おはよ」


 話が盛り上がっているところに不意に男の子の声。
 みんなが声の方を振り返る。
 と…

 たった今登校してきた香取くんが私の席の脇を抜けて自分の席に向かうところだった。
 ばっちりと眼が合って、それが香取くんから私たち─いや、私に向けられた言葉だったんだと分かる。



「あっ、おはよう香取くん…」

「えっ香取くん!?おっ、おはよー!」

「おはようっっ!」

 みんなで次々と挨拶を返す。


 彼が通り過ぎるとのりかちゃんとまひろちゃんが騒ぎ出す。

「えぇっ!香取くんが挨拶してくるなんて珍しい!」

「どーしようっ!おはようなんて言われたの初めてかもー!ちょっと、何があったの!?」

…本人に丸聞こえだよ。


 でも、挨拶もしないコミュ障香取くんが自分から声を掛けるなんて、それはやっぱり…


(友達だと思ってもらえてる、て思ってもいいよね…?)

        *
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