剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
 ラウンジの小さな窓から空が薄紅色に藍色が混じっていくのを見上げていると廊下に足音がした。
 誰か飲み物取りに来たのかな?なんてそちらに眼を遣ると、香取くんが現れた。


「あ…」

「何やってんの?」

 香取くんが私の前に立つ。背の高い彼が両の手をポケットに入れて見下ろす様は仁王様みたいで威圧感がある。


「ちょっと疲れちゃって…」

 私はえへへと笑う。

「そう言う香取くんこそ。もう帰るの?」

 香取くんの背中にはリュックが背負われている。


「…あぁ」

 そう言いながらも香取くんは私の隣に腰を下ろす。


「……」

「……」


(えっと…なんか話し掛けた方がいいのかな…?)

 どうやら友達として認められたらしいとは言え、改めてじっくり香取くんと話をすることなんてないから、こうしてふたりきりになるとどうしていいか分からなくなる。


「あの…みんな元気だよねー」

「あぁ」

「えーと…あっ!香取くん歌上手いんだね!びっくりしちゃった!」

「どうも」

「何か飲む?持ってこようか?」

「いや、いい」

「……」

「……」


 ダメだ…ダメ過ぎる…

 上手く喋れない自分に愕然とする。
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