剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?

「それに…」


『あのさ、今度から高いとこ上る時はジャージ穿いた方がいいよ』

『引いてないだろ。教科書に線』

『中学の同級生なんだ。剣道部の。』

『風邪でも引かれたら後味悪いからな』


 香取くん─


「紳士で、意外と人のことよく気付いて、友達思いで、はっきり口には出さないけど優しくて…」


『ありがとうな、星宮』

『星宮来るなら行ってもいいよ』

『だったら先抜けたらいいじゃん。送るから』─


「何考えてるか分かんなくてドキドキさせる人─」


(香取くん…)

 私は小さく息を吐く。


「なんか…瑠璃がすっごいその人のこと好きなの伝わってくる」

「だね。頑張んなよ」

「うぅん!私なんかじゃ全然手が届かないもん」

「大丈夫。瑠璃、可愛いしきっと叶うよ」

「そんなことないから…」


 あぁ、そう言えばうっかり語っちゃったけど今の話、香取くんに聞かれてないよね…?

 私は眼だけで教室の中を見回す。


(よかった。香取くんいないみたい…)


 香取くんのこと好きな子なんていっぱいいるもん。私の想いは叶わない。


 でもいいんだ。

 私は香取くんの数少ない友達で、時々一緒に喋れて、時々ふたりで過ごせて。

 そして、貴方を好きだと思えて…


 それだけで十分だと思えるくらい、私には勿体ないくらい今贅沢なの─

     *   *   *
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