剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
香取くんが美しい所作で正座した。
(あ…これ知ってる…)
初めて香取くんの剣道を見たときの色気を含む麗しさが甦ってきゅんとなる。
するすると頭の後ろで紐を解くと面を外し、頭に被った手拭いで顔を拭うと、見慣れた香取くんの綺麗な顔が露になった。
(こんな風に真っ直ぐ香取くんを見るの、久しぶり…)
どこか懐かしい気持ちが込み上げたとき、香取くんの視線がこちらを向いた。
(あ…!)
どうしよう、眼が合っちゃった!
ばつが悪くて反射的に眼を逸らす。
「どういうって何よ?え、もしかして知らないの?」
隣で知世の声がした。
「香取くん、剣道部入ったんだよ?」
「え…?」
『じゃ俺が勝ったんで、約束通り剣道部には入りませんから』
あんなにやる気なさそうだったのに…?
香取くんにそっと眼を遣る。
慣れた手つきで防具を外していく姿があった。
(相変わらず…)
香取くんの考えてることは、私にはやっぱりよく分からない…
「…先に教室戻るね」
私は何だか居心地が悪くて、ひとり剣道場を後にした。
* * *