剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
剣道部に入った香取くんとはまるっきり生活の時間帯が違って。
朝は朝練、昼は昼練、放課後は部活がある香取くんと私では、もう全く接点がないまま日々を過ごした。
と言っても、放課後彼が部活を頑張ってるんだろうな、と思うと、知世たちのカラオケやアイスクリームのお誘いに乗り気になれず、前みたいに遊びに行くこともめっきり減ったのだけど。
(だからってそんなことが香取くんの役に立ってるわけじゃないんだけどね…)
中庭の木々が色付き、秋も深まってきたある日の午後。
移動教室で理科室に向かおうとひとりで教室を出ると、背後から
「星宮」
と呼び掛けられた。
(!!)
その声に私の胸はどきりと跳ねる。
久しぶりのこととはいえ紛うわけもない。
(香取くん…!!)
私は息が止まりそうになりながら、恐々振り返る。
そこには片手に生物の教科書やペンケースを携えた香取くんがいた。
相変わらずその表情からは何で私を呼び止めたのかは分からなかった。
「……」
「……」
(どうしよう…気まずい…)
「……
そんな怯えた顔されるとそれなりに傷付くんだけど?」
「あ…」
どうしよう。私、無意識に酷い顔してたかも…
手にしていた教科書で顔を隠す。