剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?

「…11月の大会に」

 頭の上から香取くんの低い声が降りてくる。

「選手に選ばれて出ることになった」


(え…?)

 教科書の陰からそっと香取くんの様子を覗く。
 香取くんは真っ直ぐ私を見ていた。その視線が何だか痛くて、私はまた教科書に隠れる。



「星宮に見に来て欲しい」


「え…」


「その…良かったらでいいから…」


「……」


「…日程と場所はラインで送っておくから」


 そう言い置いて、香取くんは私を追い越し先に行ってしまった。



『星宮に見に来て欲しい』


(えっ!?えっ!?何で!?)

 茫然と立ち尽くす私を廊下を渡る涼しい風がからかうみたいに撫でていく。


(香取くん、どうして私に…?)


 あんな酷いこと言ったのに、怒ってないの?
 だとしてもどうして私を誘うの?

 あぁ、やっぱり貴方のこと分からないよ…


 ぐるぐると回る思考。
 でもそれは何にも思い至らない。

 ただただ私を途方に暮れさせるだけ…


 キーンコーンカーンコーン…

 始業を告げるチャイムが鳴る。

(行かなくちゃ…)


 その音に背中を押されて私はようやくその場を後にした。

     *   *   *
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