星降る夜の月
入学した時は、新しい生活に期待しかなかった。
入学して、しばらくしてからもその浮ついた気持ちは治まっていなかった。
電車通学、帰りの寄り道、新しい友達、新しい先生、新しい通学路。
何から何まで新鮮だった。
進学校ということもあり、勉強は毎日大変だった。
予習復習は欠かせず、テスト範囲は中学と比べ物にならないくらいの膨大な量。
それでも、毎日部活と勉強を両立して頑張っていた。
高校1年生の冬までは。
新学期になって学校へ行くと、教室の空気がどこかおかしかった。
よく分からないけれど、何かがぎこちなかった。
仲の良い美里に挨拶をしてみると、普通だった。
それにほっとして、私は席に着いた。
「どうしたの?
いつもの夏海と違う。」
美里は人の表情に聡い。
話してもいいものなのか分からなかった。
曖昧にごまかす。
それから、もう1度教室を見渡すと、やっぱり何かが違う。