星降る夜の月
「いいじゃん、私湊を借りて有名人になれるかも。」
「俺が見つけるのに」
「あはは、嘘だよ、ちゃんとした名前付けてね。」
幸せだ。
これを幸せと言えないならば、他にどんな幸せがあるというのか。
心を許せる人の側で流れ星でいっぱいの空を独占できるなんて、贅沢以外の何物でもない。
顔を湊の肩にもたせると安心する。
「綺麗だね」
「うん」
「朱璃にも、見せてあげたい。」
「見てるといいな。」
「……ごめんね」
誰に対してかは分からなかった。
ただ、ここにいることが申し訳なかった。
こんなこと、初めてだった。
お母さんにどんなに暴言を吐かれても自分を悲観したことだけは一度もなかった。
なのに、なんで。
頭ではそんなことは思う必要はないと分かっている。
だけど、私は、今ここに私として生きていることが苦しく、痛かった。