星降る夜の月
ホームルームの時に分かった。
みんなが何かの共犯意識を持っているのだと。
それが私に向かっている気がした。
こんなことを考えたのは初めてだった。
私が身じろぎをすると、くすくす笑っている気がした。
咳払いをすると、空気が淀んだ気がした。
ペンを持つと、蔑む目線が向いた気がした。
冷や汗が滲む。
手が震える。
それなのに、体は熱に浮かされているようだ。
勘違いかもしれない。
何かの間違い。
そう言い聞かせても、恐怖は増すばかりだった。
どうして、急にこんなことに。
「月島さん、国語係ですよね?
あとでこれを配ってください。」
先生が不思議そうに見ている。
生徒は笑いをこらえているようにしか見えない。
また、汗がひとつ背中を伝う。
「……はい」
ほとんど掠れた声で返事をした。
このたった2文字を言うのにこれだけ時間がかかったのは初めてだった。
私は、動揺している。