星降る夜の月
コンコン、と窓を叩く音がした。
……今日も来たのか。
カーテンを開けると、そこには笑顔の幼なじみがいた。
「よう」
彼は星川湊。
同じ高校に通っている。
「よう、じゃないって。
毎日毎日。
何しに来たの?」
「勉強教えてもらおうと思って。」
「学校に行っている意味がないじゃん。」
何度このことを言ったか。
だけど、湊はへらへらしている。
「いいじゃんよ、勉強くらい。
学校には別のことを勉強しに行ってんだよ。」
「へえ」
適当に返事を返して、窓から彼を招き入れた。
今日は土曜日だから、午前中で終わったらしい。
「どこが分からないの?」
「倫理のさ、ここの繋がりがどうも納得出来ないんだよ。」
「それは、こういうことだと思う。
私達は、誰もが自分の考えは他人も持っていると思うわけ。
でも、実際は他人は私の考えを持っていないし、あるいは私は他の人の考えを持たない。
つまり、私達はお互いを分かっているようで、本当は分かっていない。
ただ分かったふりをしているだけ、ってことじゃない?」