星降る夜の月


湊が黙っている。


「分からないところあった?」


「……や、違う。

お前って変な所で成熟してんだなって思って。」


「……学校に行かない分、いろいろ考えてるからね。」


明るく言わないと、苦しい。


「開き直るなよ。」


「まあいいや、それで、分からないのはそこだけ?」


「うん」


「せっかくだからお茶でも飲んでいきなよ。」


「じゃ、ありがたく。」


下へ降りるとやっぱり誰もいない。


両親は仕事に行っている。


自分で選んで仕事に行っているのに、帰ってくるといつも憂鬱そうにしている。


そういう所も、私の嫌いなところ。


麦茶を注いで部屋へ運ぶと、いつものように湊が漫画を読んでいた。


「持ってきたよ。」


「うん」


人がせっかく持ってきてやったのに。


「麦茶ぶっかけるよ」


「お前、まじで短気だよな。

そんなんだから駄目なんだよ。」


むかつくけれど、湊の言葉は正解だ。


いつだって、正しい。


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