王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
フレデリック様はそう言って立ちあがると、脱いだ時のもじもじが夢だったのかと思えるような素早さで、一瞬でズボンを身につけて帰っていった。
私は玄関先で、その姿が見えなくなるまで見送った。
長身で逞しい、恵まれた体躯。その背で風を孕んではためく、緋色のマント。颯爽と馬を駆る、凛々しい姿。
状況と私の心の葛藤を考えたなら、きっと今は、物凄くシリアスな場面のはず……。
「ぷっ、ぷぷっ! ぷはははははっ!」
けれど私が縫う前の、お尻がパックリと破れたズボンを想像すれば、ちょっとシリアスにはなりきれなかった。