王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
ここは王都にある、喫茶室。人目があって雰囲気が明るく、隣席と仕切られた半個室席も供えており、なにかと使い勝手のいい場所だ。ご婦人同士のおしゃべりから、こ洒落たデート、はたまた商談にまで、今も多くの利用客で盛況していた。
そんな喫茶室の半個室席で、俺は現在、アイリーンと向かい合っていた。
ちなみに今回の用途は、おしゃべりでもデートでも、商談でもない。敢えて言うなら、折り入っての相談事というのが一番近い。
「視力がお悪いんじゃありません? こう言っちゃなんですが、エミリーの優しい囁きなんて、とんと聞いた事がありません。鶏相手にガミガミ怒鳴ってるのはよく耳にしますがね。フレデリック殿下の言うところの嫋やかな手は、素手でトカゲだって躊躇なく鷲掴んで妙薬に仕立てます。木綿のワンピース? そんなのは来客があって、慌てて被る事もしばしば。家の中じゃパンツ一丁で腹出して、高いびきで寝ますからね?」
なんと! アイリーンからもたらされたのは、エミリーの魅力的過ぎる日常の一端。