王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 痴漢撃退グッズは、悠々自適の「おひとりさまライフ」には必須アイテムだから、割りあい早いタイミングで完成させていた。

 そうしてそれらは、アイリーンによって「痴漢撃退グッズ」シリーズとして商品化され、ちょうど先週から販売を開始したばかりだった。

 まさかその使用者第一号が販売者のアイリーンになろうとは、なんたる皮肉だ。

「アイリーンは飲み屋でしつこく言い寄った男に向け、霧吹きで謎の薬物を噴出したのだ。男はそれにより、両目の視力を失っている」

 ……あぁ、痴漢撃退スプレー(霧吹き)だったか。
 私はまだ見ぬ加害男性に向かい、内心で合掌した。

「おい、聞いているのか? 男は視力を失っているのだぞ?」

 男性の声には、隠し切れない険が含まれていた。




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