王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「あ、すみません。ちゃんと聞いています」
私の答えが気に入らなかったのか、私を見下ろす男性の眼差しが、厳しさを増す。
「アイリーンには現在、軍での聴取が行われているが、吹き掛けた液体の成分や出所に関しては黙秘を貫き、口を割ろうとしない。アイリーンは実業家として手広い事業を展開しているが、薬化学の専門知識は持たん。この怪しげな商品、いや、これは既に兵器と言って過言じゃない。この薬物兵器の企画発案に関わった者は、別にいる」
男性は苛立ちを露わに、言い募った。
「俺は徹底的にアイリーンの交友関係を洗い出した。そうしてようやく、其方の存在に辿り着いた。……この危険かつ、重篤な被害をもたらした薬物兵器の製作者は其方か?」
男性は一拍の間を置いて、問いかけた。その目が、射るような鋭さで私を見つめていた。