王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
私は消沈するミハルを前にして、掛ける言葉に窮した。
「エミリーはさっき、これが自分の用意した薬のウン百分の一にも満たないって、そう言ったよな?」
だけど私が何か言うより前、顔を上げたミハルが私を見据え、ゆっくりと口を開いた。
「え? うん」
「……エミリー、ゲーリピタン草の代金も踏み倒したままの俺が、言えた義理じゃないのは分かってる。だけど薬の代金支払いを、少しだけ待ってもらえないか? 今月は妹の発作が多かったから、今は食費を削ってなんとか凌いでる状態なんだ。来月になれば俺の給金が入るから、だからそれまでどうか、お願いします」
胸が痛かった。
最初にうちでミハルがゲーリピタン草の代金を渋った時、高給取りのくせにって、そう思った。