王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
そうすればミハルも、さして気にしたふうもなく話題を変えた。
「ありがとう」
この時、私の胸の中では、ひとつの思いが浮かんでいた。代金はミハルじゃなく、これまであこぎに荒稼ぎしまくったインチキ薬師から徴収してやろう、と。
言えば当然、ミハルを心配させる事になる。だから案内はもちろんの事、敢えて行き先も目的も伏せた。
なによりこれは、私自身の憤りに突き動かされての、私の都合だ。
私はミハルの屋敷を出ると一人、妹さんが掛かるフレミー薬店に向かった。
単純な詐欺とは言い切れない。
そもそも国が、薬剤販売に関してガイドラインを設けている訳じゃない。『薬』と称して売られているものの効果も、薬価も、それらは全て個々の薬師の手に委ねられている。
売る者があり、買う者があれば、それだけで商売は成立してしまう。