王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 客の男性はもちろん、女性も目の前の状況に気を取られており、私の動向など気に掛ける余裕もないようだった。

「根気強く、お薬を飲ませていくことがとても重要だと申し上げたじゃありませんか」

 ……今なら、いけるかも。

 二人の様子を見つめながら、私の胸にひとつの決意が浮かぶ。

 チラリと視線を向ければ、奥の扉には僅かな隙間ができていて、鍵がかかっていない事は明白だった。

 ……今しか、ない!
 私は意を決し、衝立からスルリと飛び出すと、居住へと続くであろう奥の扉に身を滑り込ませた。

「あんたんところの薬、本当にあれ、効いてるんだよな?」
「もちろんですよ」

 私は見咎められる事無く、居住への侵入を成功させていた。



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