王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
私にも馴染みのある生薬が、雑多と置かれていた。お世辞にも、その管理方法は丁寧とは言い難い。
けれど今、薬の保管どうこうは、問題ではない。
私は引き寄せられるように奥へと進んだ。
窓際の机の上に、無造作に置かれたノート。何故かは分からない、初めからそのノートが気になって仕方なかった。
狭い部屋は、数歩歩けば机に辿り着いた。そうして震える手で、机の上のノートを捲る。
……間違いない、これだ!
そうすれば案の定、ノートは私が求めていた収支記録の帳簿だった。
食い入るように、数字の羅列に目を走らせる。
薬の管理とは打って変わり、収支の記録はとても詳細に記されていた。生薬の仕入れ値から
、調薬の売価までが事細かに記録されていた。
私は一目見て、その衝撃的な内容に目を剥いた。売価はあってないようなもので、販売相手に寄ってまちまち。
取れるところからは、どんどん値を釣り上げて、販売価格は右肩上がりになっていた。
ゴクリと唾を飲んだ。
けれどすぐに思い直す。帳簿の検分は、今じゃない!