王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「俺の腕も衰えちゃいねえ! ほれ見ろ、泥棒猫を仕留めたぜ!」
私は全身を床に、強かに打ち付けた。けれど全身を強打した痛みも、足の焼けるような熱さに比べれば気にもならなかった。
「……っ、ぅうっ……」
打たれた足が視界に入った。打たれた部分は肌が割け、血肉が露わになっていた。
這ってでも逃げるべきだと分かっていた。けれどどんなに前に進もうとしても、燃えるように熱い足が枷のように重く、私の動きを阻む。
「お前さん! 馬鹿言ってないでサッサとやっちまいな! まどろっこしい!」
女性の罵声と、ドスドスとした足音が聞こえたと思った。次いで頭上に、影が落ちる。
「ァグッッ!!」