王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
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コンコンッーー。
出勤早々、団長執務室の扉が叩かれる。
俺の出勤を待ち構えていたかのようなタイミング。これらは往々にして、面倒事である可能性が高い。
「入れ」
今回も、補佐官が厄介な報告やら相談事やらを持ってきたのだろうと踏んだ。
俺は内心で小さく溜息を零し、扉に向かって入室を促した。
「フレデリック殿、失礼するぞい。少しばかり、大丈夫かね?」
けれど扉からひょっこりと姿を現したのは、予想外の人物だった。
「アギレスか、其方がわざわざ俺のところを訪ねてくるなど珍しいな」
アギレスというのは、我がサントマルク王国軍第三師団所属の首席研究員。
アギレスは軍所属ではあるが、入隊以来かれこれもう四十年以上、ずっと研究職に従事する頭脳派だ。