王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
第三師団内で博士という呼称で親しまれるアギレスは、今日も一般の兵士とは異なり白衣を身に付けていた。アギレスはそのトレンドマークの白衣の裾を捌きながら、俺の向かいに腰掛けた。
「それでじゃ、その嘆願の内容というのが、なんとも身につまされる内容になっておってな。それでフレデリック殿、あんたの見解を聞きたいと思ったんじゃ」
そう言って、アギレスは懐から一枚の便箋を取り出した。便箋はアギレスの言うところの嘆願書のようだが、内容より何より、まずその可愛らしすぎる花模様が目を引いた。
俺は差し出された便箋を受け取ると、ザッと目線を走らせる。
その手紙は、可愛らしい花模様に似合いの、いまだ拙さの残る子供の筆で書かれていた。