王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
【今日は、お願いがってアギレス博士に手紙を書かせていただきました。わたしは、小さい時からもう十年、咳の発作のための薬をのんでいます。薬はとても高額です。家族はわたしのために家財を売り、朝から晩まで働いて薬代を出しています。だけどわたしはその薬に、ずっと疑問を持っています。もう十年、のんでいるからこそ感じます。薬には、あまり効果はないのではないかと思うのです。ずっと同じ薬をのんでいますが、その配分は時によってまちまちです。この間などは、生乾きの蜜柑の皮が入っていて、それが腐敗して酷い臭いがした事もありました。薬屋さんは、乾燥が不十分だった事を認めて、新しい薬と交換して終わりにしました。家族も口にはしませんが、不信感はきっと感じています。けれどわたしが、もう薬をのむのを止めると言っても、家族は応じません。それもそのはず、薬屋さんに薬を止めれば悪化する、薬のお陰でこの状態でいられるのだと言われれば、家族は止める選択肢など取れません。家族は、わたしのためにギリギリの生活を送っています。アギレス博士、どうかわたしの薬を調べてはいただけないでしょうか? そうして家族が、これ以上わたしのために高額な薬代を払い続ける状況を、変えてはいただけないでしょうか? どうぞよろしくお願いいたします】
……薬の売価。
これはまさに、俺も常日頃危惧していた部分だった。