王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 ここでアギレスは眉間に踏皺を寄せ、声を潜めた。

「どうやら巨額な賄賂が、外交大臣に流れているようなのじゃ」
「なんだと!?」

 聞こえてきたまさかの大物の名。
 外交大臣を務める伯爵家の当主とは俺も面識があるが、清廉潔白な人柄を疑っていなかった。そんな人物がまさが不正に手を染めていようとは、思いもしなかった。

 そしてこれは、いまだ父や兄、他の大臣らも掴んでいないと思われた。

「見返りはよもや、外交特使か?」

 サントマルク王国は数年ほど前に、長年小競り合いを繰り返して来た隣国ド・クリーエ公国と融和協定を締結し、融和政策へと舵をきった。



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