王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 本来、師団長という地位にある俺が、個人的な感情で捜査を推し進める事は、決して褒められたものではない。

 しかし所属兵の窮地に際し、静観などできようはずもなかった。なんとしても動かねば、いられなかったのだ。

「ところで、差出人の家庭には目ぼしが付いているのか?」

 手紙の差出人は、アギレスの事を『アギレス博士』とそう名指しした。けれど、『アギレス博士』というのは、一般的な呼び名ではない。

 研究員のアギレスも、巷ではいち軍人に相違ないのだ。そのアギレスを『アギレス博士』と呼ぶ、これは我が第三師団所属の兵士でなければあり得ない。ならば手紙を認めたのは、その呼称を耳にした兵士の家族という事だ。




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