王子？団長？どっちもお呼びじゃありません！！～異世界悠々おひとりさま満喫日記～

２

　

「アイタタタタタタタタッッッ！　イタイ、イタイ！　痛いですってばーっ！！」

　俺は、屋敷中に大音量で轟くエミリーの叫び声に、胸を撫で下ろしていた。
　
　発見直後、受け答えも満足に出来ぬまま、体を震わせて咳き込むエミリーの姿が苦しかった。今ももちろん、エミリーの痛みを思えば胸が苦しい。

　けれど処置中の足を抑え込む俺に、反対の足で渾身の蹴りやら肘打ちやらを入れる元気なエミリーの姿を見れば、嬉しさしか浮かんでこない。

「これ嬢ちゃん、そう足をバタつかせると、フレデリック坊ちゃんにスカートの中が丸見えじゃろうて」
「なっ！？」

　ん？

　マキロンの言葉に、エミリーの動きがピタリと止まる。