王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


「……マキロン」
「ただ、不幸中の幸いと言えるかどうか、筋や骨に異常がないのがせめてもの救いじゃ。足の機能には、後遺症は残らんじゃろ。ただし酷い怪我じゃ、この後は痛みと傷で、発熱が続くかもしれんな」

「エミリーの処置で、注意すべき点はあるか?」

 マキロンは頷くと、診療鞄から薬袋を取り出した。

「一応これが、熱さましじゃ。ただし、嬢ちゃんのは傷からくる恒常的な発熱じゃから、熱さましは根本解決にはならん。基本的には、患部を冷やして、痛みと熱を抑えてやるのがいい。それでも、どうしても辛そうな夜間などに、飲ませてやるといい。それから日に一回は包帯を交換し、患部の衛生を保つ事じゃ。もちろん、栄養管理もしっかりと保ってやるんじゃな」

 熱さましの入った薬袋を受け取りながら、俺は一言一句聞き逃さぬよう、マキロンの言葉に耳を傾けた。

 そうして聞かされた注意事項を頭の中で反芻し、漏れなく記憶にとどめた。

「マキロン、世話になった。今日は其方がいてくれて、本当によかった」



< 191 / 284 >

この作品をシェア

pagetop