王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「それから外交大臣の周辺捜査に関しては、俺の屋敷を拠点とした。その為、俺はこの後しばらくは不定期での出勤になるだろう。その旨、副師団長に伝えておいてくれ」
外交大臣を探るにあたり、俺は迷わず王宮に程近い屋敷を連絡の拠点にした。事態に進展があれば、その連絡は逐一俺の屋敷に入れるよう手配済みだ。
これを免罪符にする訳ではないが、エミリーが病床に伏せるこんな時だからこそ、手を差し伸ばせば届く距離にいてやれる事は幸いだった。
「ハッ!」
俺からの伝言を受け、兵士は軍施設へと戻っていった。兵士が出て行くとすぐに、俺はエミリーが休む客間に向かう。
僅かにでも、エミリーの傍を離れる事が不安で、心配で仕方なかった。
傍にいても、俺が苦痛を代わってやれる訳ではない。けれど傍にいれば、エミリーが辛い時、その背中をさすってやる事が出来る。渇いた喉を潤してやる事も出来る。
俺は足早に、廊下を駆けた。