王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
もちろん鍛え上げた俺に、病床のエミリーの力が、物理的な攻撃を与える事はない。けれどそれは、実際の力以上の威力でもって俺の心を抉った。
「エミリーどうした?」
エミリーは何かから身を守ろうとするかのように、小さく丸まって体を震わせていた。今は俺が触れるべきべはない、本能的にそう思った。
「エミリー?」
俺は、敢えて一歩分の距離を置き、エミリーに呼び掛ける。
けれどエミリーの意識は悪夢の中にあるようで、俺の声にはまるで反応しない。
「……お母さん、私、昨日の晩、お父さんに襲われかけたの。お父さんはお酒に酔ってて、まだ私の部屋にいるよ……」
!!
途切れ途切れの、エミリーの言葉。