王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
俺はエミリーを刺激せぬよう、それをそっと、そおっと、手巾で拭い取る。
「エミリー、きっとそこは君にとって安全で居心地がいいのだな……。けれどエミリー、俺は君に愛し愛される幸福を知って欲しい」
これを押し付けるのはきっと、俺のエゴだ。
けれど俺は、エミリーと肩を並べて歩み、見つめ合い、微笑みを交わす。日々の感動を共有し、互いの温もりを分かち合う。
そんな未来を、願わずにいられなかった。
「さぁエミリー、この枕は魔法の枕だ。この枕がもう、君に悪夢を寄せ付けない」
やはり、エミリーは答えない。
クタリと力なく敷布に沈み込んだエミリーは、従順にされるがままで、まるで人形のようだった。俺はこの隙に、手早く枕を交換した。