王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
4
***
解せない……。全く以って、解せない……。
「ほらエミリー? もう少し食べられないか?」
残念ながら、もう一口だって入りそうにない。私は小さく首を横に振った。
すると、すり林檎ののった匙と器を手にしたその人が、小さく肩を落とした。
「そうか、食べられんものは仕方ないな。……けれどエミリー、もう少し食べなければ体力が戻らん。もし何か食べたい物や、食べられそうな物があれば言ってくれ」
ちなみに、残ったすり林檎を脇の卓に置き、心配そうに言い募るのは、フレデリック様その人だ。
「……あのフレデリック様、お仕事はよろしいんですか?」
怪我を負った後の数日間、私の意識は、熱と痛みで朦朧としていた。そんな薄ぼんやりとした意識下でも、私の脇には常にフレデリック様の優しい手と、囁きがあったのを覚えている。