王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 え?
 しばしの間を置いて、頭上からかかる、これまた想定外の台詞。反射的に目線を上げれば、ぶつかったのはフレデリック様の深く、抜けるような水色の双眸。

「すまないな、エミリー。どうやら君はとんでもなく面倒な男に惚れられてしまったようだぞ? けれど、俺はいつか君の心の鎧を溶かす」

 言葉の最後は、何故か断定。

 ジッと見つめ合ったまま、まるで縫い止められてしまったかのように、視線を逸らす事が出来なかった。ゴクリと、空唾を呑んだ。

 ……もしかすれば、清く澄み切ったフレデリック様の瞳に映る世界、それは私が見ているものとは、まるで違う世界なのではないだろうか。

 そんな馬鹿げた想像が、脳裏に過ぎった……。

 これまでになく、胸が騒ぐ。どちらにせよ、私の日常は大きく変わる、そんな予感がした。






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