王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 私の言葉に、フレデリック様はホッと表情を緩ませた。

「そうか! では、早めに帰る!」

 !!
 フレデリック様は爽やかな笑みと共に、まるで新婚夫のような台詞を残し、足取り軽く出勤した。

「……フレデリック様、女を見る目がないですよ」

 パタンと扉が閉まり、一人になった客間で、ポツリと呟く。

 どうして、私なんだろう? 誰の目にも、フレデリック様は素敵すぎるくらい素敵な男性。
 こんな面倒くさい女じゃなく、もっともっと素直で可愛い女性はいくらだっている。

「こんな女は、どうか早々に見限ってやってください。じゃないと……」

 そう、じゃないと私の決意がブレてしまいそう。私という存在の、根幹が揺らぐ……。

 私はすっぱりと、いっそ失礼な物言いでフレデリック様の誠実な告白を一蹴した。だけどフレデリック様は予想に反し、更に誠意を尽くして応じようとする。

 男も女もない、その人間性に惹かれない訳がない。




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