王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~



 フレデリック様を見送った後、私は午前中いっぱい寝台から窓の外の景色を見るともなしに眺めていた。

 けれど、とっくに山を越えて治ってきているはずの患部がジクジクと疼き、目に映る景色を楽しむ余裕はない。

 幾度も身じろぎを繰り返しながら、私は長く不快な時間を過ごしていた。

「エミリー様、昼食をお持ちいたしました」

 やっとお昼になって、顔見知りの侍女が食事を運んでくれた時には、お昼とは思えないほど消耗しきっていた。

 なんとか身を起こした私を一目見て、侍女は表情を曇らせた。

「あら? なんだか顔色がよくありませんわね。エミリー様、痛むようでしたら、少し患部を冷やしましょう。今、用意してまいります」
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