王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
気を利かせた侍女が、患部を冷やし、背中を擦ってくれた。
「すみません、忙しいのに」
発熱が落ち着いて意識がしっかりしてからは、フレデリック様も私に四六時中付きっきりではなかった。けれどフレデリック様は定期的に顔を出しては、患部を処置し、凝り固まった体を擦ってくれた。
幾つか言葉を交わし、重くなりがちな病床に軽やかな笑いを与えてくれた。
「いやですわ。お辛い時は、いつでも呼んでくださいませ」
感じよく応対してくれる侍女の言葉に嘘がないのは瞭然だった。処置の手も、背中を擦ってくれる手もとても優しい。
私は有難く、侍女の手に身を委ねた。
「どうもありがとうございます。もう、大丈夫です」
「もうよろしいのですか?」