王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 しかも驚くべきは、「貰った」ではなく「融通させた」という、恐ろしすぎる台詞だ。

「どれ、早速剥いてみよう。これでエミリーの食が、少しでも進むといいのだが」

 けれどフレデリック様は、愕然と固まる私を余所に、ナイフを掴むとシュルシュルと器用に皮を剥き始めた。

 私は恐れ多すぎる桃を前に、バクバクと騒ぐ心臓を落ち着けるのに、もう必死だ。

 そうこうしてる内、目の前の皿にはフレデリック様の手で綺麗に皮を剥かれて一口大にカットされた桃が積み上がる。

「ほらエミリー?」

 すると何を思ったか、切り終えたフレデリック様が指先に掴む一切れを皿にのせず、そのまま私の口元に寄せた。
 え?

「瑞々しいぞ? ほら、あーんだ」

 フレデリック様からもらった「あーん」の衝撃に固まる。



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