王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
けれど対峙するフレデリック様に色めいたものは微塵もなく、ニコニコとした笑みはただ、私に桃を食べさせる事だけに専心している様子だった。
それでも私は、フレデリック様の手から直接口にする事に躊躇した。
あっ!
その時、フレデリック様が差し出す桃から滴る果汁が珠になって、今まさに零れ落ちそうになった。
目にした瞬間、躊躇が吹き飛ぶ。
滴る果汁ごと、反射的に桃をパクッと頬張った。口に含んだ瞬間、じゅわっと溢れる瑞々しさと濃厚な甘さに、自然と頬が緩む。
美味しい果実を余さずに味わうように、無意識に果汁をチュッと吸い上げた。
……わぁ、美味しい。