王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 それを言われてしまえば、返す言葉が無かった。

「それで? 例の件、全て証拠が出揃ったと伝令を受けたが?」

 なのでさっそく、核心に切り込む。

「あぁ、全てが知れたよ。お前の言う通り、外交大臣が黒なのは最初から明白だったが、それを押した理由に関しては個人的にも興味があった」

 兄は、手にした報告書とおぼしき書類束をバサッと脇に放ると、ヒョイと肩を竦めてみせた。

「外交大臣の周辺を少し洗えば、容易に知れたよ。どうやら金食い虫は若いお妾さんのようだね。母上ですら購入に慎重になるレベルの装飾品を買い漁っている。あれでは伯爵家当主としての俸禄だけでは、とても賄えない」

 彼の事は、俺も兄も幼少の頃から知っている。外交大臣としての職務も、これまでトラブルなく努めていた。

 一見では大人し気な穏やかな男で、とても散財とは結び付かない。その奥方も華美に装う事をせず、夫婦ともに堅実で質素な印象だったのだが、人というのは表面的に見るだけでは分からないものだ。

「若い妾で身を滅ぼすなど、なんと愚かな。呆れ果てて物が言えん」

 吐き捨てるように言う。



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