王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
しかし俺は、『あばた顔』と言い捨てたのは、兄の精一杯の予防線であったのだろうと思っている。手段を間違えたのは事実だ。けれどあの言葉は、我が婚約者に興味を示すなと、そんな兄の思惑が言わせたのではないか、そう感じていた。
「さて、既に証拠は出揃ったのだ。若い妾との蜜月も、ここまでだ。次の議会で外交大臣は失脚、その罪を贖う事になるだろう。フレミー薬店の夫婦に関しても、余罪が次々に上がっているそうじゃないか。双方の財産も差し押さえが済み、そこから被害者への救済に適宜宛がわれる。ならばこの一件はもう、収まるところに向かう。そうなれば問題はむしろ、適正薬価の法整備だ。こちらは有識者らとの協議を重ね、慎重に討議をする必要があるだろう」
兄は自嘲の笑みをフッと引っ込めると、話題を変えた。