王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


「あぁ、兄さんの言う通り、急ぐばかりが必ずしも正解とは限らない。将来に渡って規範となれる、しっかりとした法を定める事にこそ意義がある。それで兄さん、決して身内贔屓したい訳ではないが、その法整備に際して、我が師団の首席研究員であるアギレスを推薦したい。此度の一件で最初に内情を掴んだばかりでなく、アギレスの持つ薬科学の知識は抜きんでている」

「ははっ、言われずとも有識者の筆頭に挙げている。彼の有能さは、俺も常から目を付けていたんだ。叶うならアギレスには、薬科学大臣となって国政に参画して欲しいくらいさ。まぁ、本人が望まないだろうけどね」

 俺は兄のこういうところを、尊敬せずにはいられない。父という人は、良く言えば人を上手く使う。悪く言えば、側近任せ。

 対して、王太子である兄は、常に自らの目を光らせている。そうして有能な者、可能性のある者、それらを見定め自ら目をかける。

 そんな兄の周囲には才ある者らが多く集い、次代の王位は盤石が約束されていると思えた。



< 241 / 284 >

この作品をシェア

pagetop