王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
けれど、かつての兄はこうではなかった。兄は、変わった。その契機は、言わずとも知れる……。
「それから兄さん、今回の一件は臨時に招集する明後日の会議で各師団長に報告する。その席で俺は列席者に向けて、ひとつの提案をしたいと思っている」
けれど、兄だけではない。人には、誰しも契機がある。変革の時が、ある。
俺にはまさに今がその時で、変革の時。これまで俺は、多くの優遇の中で生きてきたように思う。
第三師団の師団長という地位を優遇で得たとは思っていないが、第二王子として生を受けた俺が、周囲からの協力や賛同を受けやすい立場にあったのは事実。そうして元来の小手先の器用さでもって立ち回り、先人の築いたレールの上を真っ直ぐにひた走って来た。
それが悪い訳ではない。けれど広い視野で周囲を見渡せば、より良い未来へ通じる脇道とてあると思えた。
そうして気付いた時が、行動の時。