王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「……フレデリック、我が弟ながら、やはりお前には感服するな。そんなお前に俺は、いつだって劣等感を感じていたさ」
そうして顔を上げた兄からもたらされたのは、あまりに予想外の台詞だった。
「兄さん?」
「だがフレデリック、今この瞬間、俺の胸に巣食う劣等感や不毛な嫉妬は全て消え去った。フレデリック、次の俺の御代に、俺はお前の能力を余さずに利用し尽くす。お前という才能を、俺は存分に活用する。そう考えれば、お前という最強の協力者を持つ俺は、果報者だろう?」
兄は、悪戯っぽく笑ってみせた。
「……兄さん、兄さんの御代がより良くあれるよう、俺の持ちうる全てで協力させてもらう」
「はははっ。我が弟よ、期待している」
晴れやかに兄が笑う。その兄に、俺もまた微笑んで頷いた。
バッターンッ――。
その時、突然扉が開かれた。そうして兄の居室に、ドッシドッシと重そうな足音が響く。