王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「おおい、ヴェルガー! これを見てくれ!」
そうして高らかな声と共に、俺と兄が対峙する応接ソファに転がり込んだのは、父国王その人だ。
ただし、ノックも無しに兄の私室に入ってきた時点で、入室者に見当は付いていたが。
「父上、何度も申し上げています。息子の居室とはいえ、ノックくらいお願いしたいものですね」
「おお、すまんすまん。つい癖でな……なんだ、フレデリックも来ておったか!」
? 興奮気味の父は、後ろ手に何か隠しているようで、物凄く不自然な恰好をしている。
「ご無沙汰しております。父上は相変わらず、お元気そうでなによりです」
「うむ」
とはいえ、父が突拍子もない行動を取るのはいつもの事で、別段驚く事もない。同時にあまり、興味もない。
すると父が、これ見よがしに、くねりと身を捻ってみせる。その様子は、さも後ろ手に何か持っているのだと、言いたげだ。
……相変わらず、物凄く面倒な人だ。