王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
女神の心の鎧も溶ける
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私はこの日の午後、微熱も鬱屈とした気分も吹き飛ばす、とびきりの見舞い客を迎えていた。
「エミリー! なによなによ!? すっごい怪我、しちゃったんですって!?」
「アイリーン!!」
見舞い客は、今や飛ぶ鳥落とす勢いで多忙を極める、我が親友アイリーンだ。
そのアイリーンが、両手いっぱいに大量の見舞い品を携えてやってきた。
「もー、ほんとにエミリーはそそっかしいんだから」
!!
一切の追及なしに「そそっかしい」の一言で片づける。アイリーンのこの、サッパリとした性格はなんとも魅力的だ。
「ほんとにね、そそっかしくてやんなっちゃう」
私に別段、否やはない。なので、うんうんと頷いて同意を示す。
「ふふふっ、エミリーが退屈してるんじゃないかと思って、とりあえず暇つぶしになりそうな物、片っ端から見繕ってきたわ。よかったら、使ってちょうだい」