王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 けれど逡巡は、ほんの一瞬。早々に覚悟を決めれば顔を上げ、しっかりとアイリーンの目を見つめて口を開いた。

「何があったかと言われれば、好意を打ち明けられた。その告白に、私はこんな女は呆れて早々に見限ってくれたらいいって打算もあって、かなり失礼に一刀両断してみせたの。そうしたらまさか、フレデリック様は『態度と行動で示す』って、『俺という男となら、恋も結婚もいいかもしれない』、私がそう夢を持てるように努力をするって答えたの。正直、そんな答えは予想外すぎて……」

 アイリーンは、ただ静かに頷いて、私の言葉に耳を傾ける。

 追及を、仕掛けてきたのはアイリーン。けれどアイリーンは、いざ私が話し始めれば、一切口を挟む事をしない。

「好きになったかと聞かれれば、フレデリック様の真摯な人と成りに惹かれない方が難しい。ただ、だからと言って恋愛関係に踏み込むとなれば話は別で……。正直に言うと、フレデリック様どうこうじゃなくて、自分自身の感情を持て余してる」
「うん」



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