王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 むしろ私の方が堰切ったみたいに、胸につかえていた思いが次から次に言葉になって、溢れ出て止まらない。

「……怪我をしてからの九日間、辛い時苦しい時、ずっとフレデリック様が傍に寄り添ってくれてた。間近にフレデリック様の優しさや誠実さを見てきたからこそ、その心に嘘偽りが無い事、分かり過ぎるくらいに分かるの。なのにやっぱり、踏み出すのが怖いの。踏み出せば、これまで私が築き上げてきた全部が足元から崩れ落ちていくみたいで……。なにより私は、本当に踏み出したいのか、自分の気持ちなのにそこすらも不確かなの」
「うん、そっか」

 アイリーンの相槌は、優しくて、とても静か。

 それは確実に、私の荒ぶる心を穏やかにしてくれる。

 物事の結論というのは全て、結局最後は自分の心ひとつ。だから私は心の内を話しながら、決して答えを示して欲しい訳じゃなかった。




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