王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「……ねぇアイリーン、アイリーンは?」
親友のアイリーンはそれをちゃんと知りながら聞き手に回り、心に巣食う感情の吐き出しどころを作ってくれる。その優しさがありがたく、そして、物凄く心地いい。
「え?」
私はその優しさに、もう少しだけ甘えた。
同じ決意と志を持ったアイリーンは? 一歳年長で、私よりも一足先に自立への階段を上り始めたアイリーンには、これまで心揺らぐ事はなかったのだろうか?
「アイリーンはこれまで、おひとりさまの決意が揺らいだ瞬間はなかった?」
その、疑問をぶつける。アイリーンのエメラルドの瞳を見つめながら、問いかけた。
「ふふっ。あったわよ」
私を見つめ返すエメラルドの双眸が、スッと細められた。
「いえ、厳密に言えば、今まさに揺らいでる」
それはとても、意外な答えだった。