王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 キョトンと見上げる私に、アイリーンはふわりと微笑む。

「ふふふ、エミリー? 意外って、顔に書いてあるわよ」
「うん。あんまりにも意外で……」

 だって私は、アイリーンが強固なくらいにおひとりさまの人生を渇望していたのを知っている。

「そうね。私はかつて婚約者に、他の貴族子息や令嬢が集う場で『あばた顔』って吐き捨てられて、本気で死んでしまいたいって思った。まぁ今となっては、それがエミリーとの出会いの切欠になった訳だから、一概に切り捨てたい過去とは思ってないんだけれど……。とにかく、男にはほとほと愛想が尽きた。一切関わりたくないって、そう思ってた」
「うん……」

「だけど物事は、必ずしも一面から見るだけが事実じゃないみたい。若き日に安易に漏らした一言の重みを知り、悔いて贖罪の日々を過ごす人がいる事を、最近になって知ったの」

 語られた言葉の重みに、目を見開く。



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