王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「その子の気を引きたい甥っ子はね、毎日『やいデブ』やら『やいブタ』だのと、酷い言葉でちょっかいをかけていたらしいの。聞かされた瞬間、もう怒り心頭。思わず張り倒しちゃったもの」
……甥っ子、哀れ。
甥っ子のちょっかいは、もちろんダメ。だけど、怒り心頭に発したアイリーンは、どれほどに恐ろしかった事だろう。
「その後はちびった甥っ子着替えさせて、もう言わないって約束をさせて、私も張り倒した事を謝ったわ」
……う、うわぁ。ちびったってそれ、どんだけ恐ろしかったんだろう……。
私はまだ見ぬアイリーンの甥っ子に向かって合掌した。
「でね、気を取り直して聞いてみたの。そうしたら、周りの少年も、もっと年長の子だって皆そういう事ばっかりして、好きな子の気を引こうとしてるんですって。十三歳にもなって、まるで思考回路がお子様で、なんだか愕然としちゃったわ。そうしたらね、どこかで怖いって思っていた『男』という生き物が、とんでもなく愚かな虫けらのように思えてきたの」