王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~






 それはとても、とても不思議な夢だった。

 英美里が、緩和病棟のベッドで眠っていた。
 私は意識だけの存在になって、その上をふかふかと漂いながら眺めていた。

 英美里は既に、なんら痛みを感じてはいない。そのかわり、夢うつつを漂う英美里の意識は混濁しており、まともな会話はもう、紡げない。

 その英美里の枕辺に、両親がいた。
 長く連絡を取っていなかった父と母が寄り添って、涙ながらに英美里を見つめていた。

「謝っても謝りきれるものじゃないわね……。だけど英美里、ごめんなさい。愚かで、弱い母親でごめんなさい」
 
 英美里はもう、何も答えない。
 ……だけどお母さん、知ってたよ。貴方が弱くって、その弱さゆえに愚かである事も知ってたよ。



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